レオナルド・ダ・ヴィンチ
私たちは、時を超えたダ・ヴィンチの言葉に
思いを馳せながら、
ここ岐阜県揖斐郡池田町でワイン造りに挑んでいます。
正直に言えば、この地はワイン造りに理想的な環境とは言えません。 標高は低く、昼夜の寒暖差は小さい。夏は蒸し暑く、年間の降水量も多い。 決してワイン向きの土地とは言えないかもしれません。
けれど、だからこそ挑む価値があると信じています。
この町は現在、『消滅可能性自治体』としての課題に直面しています。 かつて活気に満ちていた土地も、耕作放棄地が増え、地域の活力が失われつつあります。 そんな現実を前に、たった一人の力で何ができるのか。 個人が起こす小さな変化が、どれほど未来を変えられるのか。
私たちは、それを試したい。
かつてここは、耕す人のいなくなった耕作放棄地でした。 しかし、その土地をもう一度耕し、ブドウの苗を植え、一歩ずつ根を張らせてきました。 それは、ただの農業再生ではなく、町に希望の種を蒔くことでもあるのです。
ワインは、土地の恵みだけでなく、人の手による努力があってこそ、 その特性を活かすことができるものです。 どんな環境であれ、その地に合ったワインを生み出すことこそ、私たちの使命だと考えています。
ワインは、その土地を映し出すものです。 たとえ条件が整った銘醸地には及ばなくとも、この池田町でしか生み出せない味わいがある。 私たちはこの風土と向き合い、時間をかけて、ここにしかない一杯を造り上げていきます。
そして、私たちのブランド**「ANGIE Pere & Fils」**に込めた想い。 “Père & Fils”――フランス語で「父と息子」を意味するこの言葉には、 世代を超えて受け継がれる想い、技、そして土地の物語が込められています。
ワイン造りとは、単なる作業ではなく、 先人が築いたものを未来へとつなげる営みです。 私たちが池田町で挑戦するワイン造りもまた、 この土地の歴史とともに、次の世代へと受け継がれていくことを願っています。
「この一杯が、誰かの幸せな時間になるように。」 そんな願いを込めて、私たちのワインをお届けします。
生産者
ANGIEPere&Filsのぶどう畑は、木曽三川によって形成された広大な濃尾平野の最北端、 池田山の麓に広がる丘陵地にあります。 標高924メートルの池田山を背にしたこの地は、東向きの斜面で日当たりが良く、 適度な気流が流れるため霜が降りにくい理想的な環境を備えています。
ANGIEPere&Filsのワインは、この風土と向き合いながら生まれたものです。 池田山の清らかな空気、揖斐川の伏流水、そして試行錯誤の末に選び抜かれた品種が生み出す、 個性豊かな味わいをぜひお楽しみください。
ANGIEPere&Filsでは、この地の気候と向き合いながら、 理想のブドウ品種を探し続けてきました。
たどり着いたのは、日本生まれの白ワイン用新品種「モンドブリエ」。
“ワインの女王”シャルドネと、耐病性に優れたカユガ・ホワイトの 交配によって生まれ、高い酒質と病害への強さを兼ね備えています。
池田町の気候にも適応しやすく、栽培管理もスムーズ。 黄緑色の小ぶりな果房ながら、糖度も高く、酸とのバランスも良好です。
ワインに仕上げると、香りはまるで香水のように華やか。 マスカットやメロン、エステルの香りが調和し、 土壌由来のミネラル感が味わいをきゅっと引き締めます。
グラスに注げば、輝くようなアロマが広がり、 その奥深さに自然と心を惹きこまれる──
“輝く世界”を意味するその名のとおり、 この土地で広がる、新たなワインの可能性を物語っています。
スペイン生まれの白ブドウ、アルバリーニョ。 “海のワイン”として知られるこの品種が、いま池田町で新たな 魅力を放ちます。
病害に強く、厚い果皮をもつアルバリーニョは、 湿潤な気候でも元気に育つ頼もしい存在です。
私たちはこの“海のぶどう”を、海のない町・池田町の丘陵地で 栽培することに挑戦しました。
南向きの斜面は朝の光をたっぷり浴び、 扇状地ならではの水はけの良さと、気流に恵まれた畑環境が、 ブドウ本来の力をのびやかに引き出してくれます。
降水量は少なくない池田町ですが、 この品種のたくましさが、その環境にも自然と寄り添ってくれました。
池田山の風を感じながら育ったアルバリーニョは、 柑橘や白桃の香り、フレッシュな酸、そしてミネラル感が織りなす、 爽やかで奥行きのある味わいを見せてくれます。
“海のワイン”が“山のワイン”へと姿を変えて── この土地が引き出す、新たな可能性にご期待ください。
ANGIEPere&Filsでは、2024年初めて収穫することができた 「モンドブリエ」と「アルバリーニョ」という個性豊かな2つの白ブドウを Vendange Mixte(ヴァンダンジュミキスト) という伝統的な混醸法で仕上げました。 通常のブレンドワインとは異なり、このワインは 畑で共に育ったブドウを、同じタイミングで収穫し、一緒に醸造する ことで、 この土地の個性を最大限に表現しています。
モンドブリエ は、シャルドネとカユガ・ホワイトを 交配して生まれた日本生まれの品種。 香水のように華やかなマスカット香やメロン香、 豊かな果実味とミネラル感が特徴です。 病害に強く、この地の気候に適応しながら 高品質なワインを生み出します。 アルバリーニョ は、スペインのリアス・バイシャスを 代表する白ブドウ。 柑橘や白桃の香りを持ち、フレッシュな酸と 海を感じさせるミネラル感が特徴です。 本来「海のワイン」と称されるこの品種を、 池田山の風と扇状地の土壌で育てることで、 新たな個性を引き出しました。
この2つの品種を、同じ畑で共に育て、共に醸す。 それは、池田町の風土を純粋に表現するための挑戦でした。 モンドブリエの華やかさとアルバリーニョの爽やかさが一体となり、 フルーティーなアロマと清涼感のある酸、 そして奥深いミネラル感が調和したワインに仕上がりました。 異なるルーツを持つブドウが、この土地で出会い、 新たなハーモニーを生み出しました。 ぜひ、池田町のテロワールが育んだ Vendange Mixte を お楽しみください。